今日は何の日?|11月2日は「タイツの日」

11月2日は「タイツの日」。
今回は、きらめくイルミネーションの街を歩く女性を描いてみました。
落ち着いたワンピースに黒タイツとショートブーツを合わせた、秋冬らしいおしゃれなコーディネートです。
今日の主役|森に暮らす黒衣の魔女

深緑の髪に紫色の瞳、大きな帽子をかぶった一人の魔女。
彼女が暮らすのは、人里離れた森の奥。
今日はある目的のために、普段は近づかない人間の城下町へ向かいます。
イラストギャラリー|城下町への小さな旅





- No.002|灰色の城下町へ
- No.003|市場の買い物
- No.004|風に揺れる秘密
- No.005|街の門を抜けて
- No.006|故郷の森へ、ただいま
短編物語|灰色の城下町と、森の黒衣の魔女
① 灰色の城下町へ
森を抜けた先に、白く輝く城が見えてきた。
幾重にも重なる城壁と、天を突くような尖塔。その周囲には、人々の暮らす大きな街が広がっている。
女は足を止め、帽子のつばに手を添えた。
「……久しぶりね」
森で暮らす魔女にとって、人間の街は気軽に訪れられる場所ではなかった。
魔女を恐れる者もいれば、珍しがって騒ぎ立てる者もいる。何より、森の村の存在を知られることは避けたかった。
それでも、今日は必要な買い物がある。
村で熱を出している子どものために、薬草を手に入れなければならないのだ。
女は城門を見つめ、静かに歩き出した。
② 市場の買い物
市場には、さまざまな香りが入り混じっていた。
焼きたてのパン、熟した果物、乾燥させた香草。
店先を眺めながら歩いていた女は、ようやく目当ての薬草店を見つけた。
棚に並んだ小袋を一つずつ確かめる。
「あった……」
指先で持ち上げた袋の中には、小さな紫色の花が混じっていた。
これなら村の子どもに必要な薬を作れる。
安堵して硬貨を取り出していると、店主が声を掛けた。
「それは少し苦い薬草だよ。誰か具合でも悪いのかい?」
女は一瞬だけ迷った。
「……ええ。熱を出している子がいて」
「そいつは大変だ。早く元気になるといいな」
思いがけない言葉に、女は顔を上げた。
店主はもう、次の商品を並べ始めている。
ただの何気ない気遣いだったのだろう。
けれど、その言葉は女の胸に小さな温かさを残した。
③ 風に揺れる秘密
買い物を終え、市場を抜けようとしたときだった。
突然、強い風が吹き抜けた。
「わっ……!」
帽子のつばが大きく持ち上がる。
女は慌てて両手を伸ばし、飛ばされそうになった帽子を押さえた。
マントが翻り、髪が頬にまとわりつく。
近くにいた人々が、こちらを振り返った。
女の胸がどきりと跳ねる。
自分が魔女だと知られたら、どんな騒ぎになるだろう。
本当に恐ろしいのは、自分が疑われることではない。
森の村まで探られ、静かに暮らす仲間たちを巻き込んでしまうことだった。
風を鎮める魔法なら、ほんの一瞬で使える。
だが、ここで魔法を使えば、それこそ正体を明かすようなものだ。
女は唇を結び、ただ風が収まるのを待った。
やがて、舞い上がった落ち葉が石畳へ戻っていく。
帽子を深くかぶり直すと、人々の視線はすでに別の場所へ向けられていた。
「……危なかった」
小さく息を吐き、女は足早に広場を離れた。
④ 街の門を抜けて
城門が近づくにつれ、市場の喧騒は遠ざかっていった。
大きな門を通り抜けた女は、街道の途中で振り返った。
高くそびえる城壁の向こうに、さっきまで歩いていた街がある。
恐ろしい場所だと思っていた。
けれど、今日出会った薬草店の主人は、見知らぬ自分に優しい言葉を掛けてくれた。
「人間も、みんな同じではないのね」
女は鞄に手を添えた。
中には、大切な薬草が入っている。
無事に買い物を終えたことが嬉しい一方で、心のどこかに小さな寂しさもあった。
いつか、身分を隠すことなく街を歩ける日が来るのだろうか。
答えは分からない。
女は城下町に背を向け、故郷の森へ続く道を歩き始めた。
⑤ 故郷の森へ、ただいま
夕暮れの森に、温かな明かりがともり始めていた。
大きな木々の幹に寄り添う家々。
枝と枝を結ぶ吊り橋。
窓から漏れる柔らかな光。
長い間見慣れてきた、懐かしい景色だった。
女は立ち止まり、ゆっくりと帽子を脱いだ。
街では何度も周囲を気にしていたのに、ここではもう誰の目も怖くない。
森の風が髪を優しく揺らす。
遠くから、夕食の支度をする音が聞こえてきた。
女は自然と笑顔になった。
「ただいまー!」
村へ向かって、大きく手を振る。
鞄の中の薬草を確かめる必要はなかった。大切に持ち帰ったことは、自分が一番よく分かっている。
今夜、さっそく薬を作ろう。
あの子の熱が下がったら、明日は一緒に森を歩けるかもしれない。
女は帽子を片手に持ったまま、明かりのともる村へと歩いていった。
その足取りは、朝よりもずっと軽かった。
おまけイラスト|現代の神社で巫女さんのアルバイト!

最後は世界観を変えて、現代日本の神社でアルバイトする魔女の姿です!
白い上衣に赤い袴、繊細な刺繍を取り入れたおしゃれな巫女装束。
異世界では人目を避けていた彼女も、こちらの世界では笑顔でお守りを渡しています。
こんな巫女さんがいたら、ついお守りを選ぶ時間が長くなってしまいそうですね(笑)。
最後に
今回は、正体を隠して人間の城下町を訪れる魔女と、故郷の森へ帰るまでの小さな物語を描いてみました。
華やかな魔法の戦いではなく、日常の買い物にも少しの緊張や発見がある、そんな異世界の暮らしをイメージしています。
帽子を脱いで笑顔になる最後の場面は、特にお気に入りです。
それでは、また次回!

