今日は何の日?「縁結びの日」

11月5日は「縁結びの日」です。
「いい(11)ご(5)縁」の語呂合わせから生まれた記念日で、人と人とのつながりを大切にする日です。
今回は、秋の神社で縁結びのお守りを手にした女性を描いてみました。
大切なご縁が、これからも続きますように。
今日の主役

今回の舞台は、紅葉に包まれた小さな田舎町。
十年前、幼なじみと交わした約束を胸に、主人公が懐かしい踏切を訪れる物語です。
秋の踏切と、帰ってきた約束





No.002 十年ぶりの故郷
列車を降りた瞬間、少し冷たい秋風が頬をなでた。
懐かしい木造の駅舎、ホームの向こうに広がる田園風景、赤や黄色に染まった山々。十年ぶりに見る故郷は、記憶の中とほとんど変わっていなかった。
小さなスーツケースを引きながら駅の出口へ向かうと、胸の奥が少しだけ落ち着かなくなる。
今日は、ただ懐かしい町を訪ねに来たわけではない。
十年前、この町を離れることになった十五歳の秋。私は一人の幼なじみと、ある約束を交わしていた。
あの子は、まだ覚えているだろうか。
期待と不安を胸に、私はゆっくりと駅の外へ歩き出した。
No.003 色あせた写真
駅から続く道を歩いていると、見覚えのある古い塀が目に入った。子どもの頃には大きく感じた塀も、今では少し低く見える。
私は足を止め、バッグから一枚の写真を取り出した。
そこに写っているのは、制服姿の私と幼なじみ。二人とも今よりずっと幼く、踏切の前で肩を並べて笑っている。
引っ越しが決まったあの日、彼女は寂しそうな顔を見せまいと、いつも以上に明るく振る舞っていた。
「十年後の秋、またここで会おうね」
そう言って差し出された小指に、私は自分の小指を絡めた。
「うん。絶対に会おう」
あの頃の私たちにとって、十年後なんて想像もできないほど遠い未来だった。それでも、いつか再会できるという約束があったから、私は笑顔で町を離れられたのだと思う。
写真の中の彼女は、今も変わらず笑っている。
私は写真をそっとバッグに戻し、約束の場所へ向かって歩き始めた。
No.004 あの日と同じ踏切の音
住宅街を抜けると、見覚えのある踏切が姿を現した。
黄色と黒の標識も、線路の向こうに続く道も、十年前とほとんど変わっていない。
近づいたところで警報機が鳴り始め、私は遮断機の手前で足を止めた。
やがて一両のローカル列車が、懐かしい走行音を響かせながら目の前を通り過ぎていく。
その音を聞いた途端、別れの日の光景がよみがえった。
引っ越しの前日、私たちはこの踏切で何度も「またね」を繰り返した。最後には彼女が大きく手を振り、私も負けないくらい大きく振り返したのを覚えている。
本当は泣きたかったけれど、泣いてしまえば約束まで悲しいものになりそうで、二人とも必死に笑っていた。
列車が去ると、遮断機がゆっくり上がった。
あの日と同じ場所に立っているのに、隣にはまだ誰もいない。
私は踏切の向こうを見つめながら、バッグの肩紐をぎゅっと握った。
No.005 来ないかもしれない人
約束の場所に着いてから、どれくらい時間がたっただろう。
最初は通りかかる人の姿を見るたびに胸が高鳴ったけれど、そのどれもが探している彼女ではなかった。
いつの間にか太陽は山の向こうへ傾き、紅葉した木々が夕日に照らされている。
十年も前の約束だ。忘れてしまっていても、不思議ではない。
彼女にも新しい暮らしがあり、大切な人たちがいるだろう。私だって、この十年でいろいろなことが変わったのだから。
「……やっぱり、覚えてないよね」
小さくつぶやくと、思った以上に寂しさが込み上げてきた。
それでも、約束を信じてここまで来たことを後悔したくはなかった。懐かしい町を歩き、あの日の思い出にもう一度触れられただけでも、帰ってきた意味はあったはずだ。
私は無理に笑顔を作り、スーツケースの持ち手を握り直した。
そろそろ帰ろう。
そう決めて一歩踏み出しかけた、そのときだった。
No.006 十年越しの「おかえり」
「ごめん、待った?」
背後から聞こえた声に、私は思わず振り返った。
夕焼けに染まった道の向こうに、一人の女性が立っている。明るい栗色の髪を揺らし、少し息を切らしながら、こちらに向かって手を振っていた。
十年という時間は、彼女をすっかり大人に変えていた。それでも、緑色の瞳と人懐っこい笑顔を見間違えるはずがない。
「……覚えててくれたんだ」
声が震えた私を見て、彼女は少し驚いたように目を丸くした。
「当たり前でしょ。約束したじゃない」
そう言って笑う彼女の目にも、うっすらと涙が浮かんでいる。
「遅くなってごめんね。急いだんだけど、ちょっと手間取っちゃって」
昔から少しおっちょこちょいだった彼女らしい言い訳に、私は思わず笑ってしまった。
「もう、来ないかと思ったよ」
「そんなわけないでしょ。今日をずっと楽しみにしてたんだから」
彼女は私の前まで歩み寄ると、昔と変わらない優しい笑顔を向けた。
「おかえり」
その一言を聞いた瞬間、こらえていた涙が頬を伝った。
「……ただいま」
十年ぶりに交わした言葉は、驚くほど自然だった。
夕暮れの踏切に、また二人の笑い声が響く。離れていた十年間をすぐに埋めることはできないけれど、これから少しずつ話していけばいい。
あの日、二人で交わした小さな約束は、ちゃんと今日までつながっていたのだから。
今日のサービス絵|バドミントン

今回はおまけとして、主人公のバドミントン姿も作ってみました!
白と淡いミントグリーンの爽やかなウェアで、ジャンプスマッシュに挑戦。
物語の中では落ち着いた雰囲気の彼女ですが、スポーツ中の真剣な表情もまた違った魅力がありますね。
制作を振り返って
今回は「縁結びの日」に合わせて、人と人とのつながりをテーマにした短編物語を作ってみました。
縁結びというと恋愛を思い浮かべますが、幼なじみや友人との大切な縁も素敵だと思います。
特に今回は、秋の景色と二人の表情を通して、十年越しの再会が持つ温かさを表現してみました。
昔の約束をずっと覚えていてくれる人がいるって、うれしいことですよね。
それでは、また次回!
今日の一言:
十年たっても変わらないご縁、大切にしたいですね。

